ラジオの話し(Mar.2008)

 
 最近、unique the radioというチャンネルでラジオ番組をやっています。
 このお話をいただいた時、一番初めに悩んだのは「サウージ・サウダージ」とどう差別化しようか、という大きな課題でした。20代前半の頃ブラジル音楽というものを聞き始めたとき、私にとって「サウージ・サウダージ」は「教科書」でした。当時は今のように街にブラジル音楽の情報があまりなかったため、「サウージ・サウダージ」をカセット・テープに録音して気に入った曲があればアーティスト名をチェックしてレコード屋に買いに行く、アーティスト名が聞き取れなければJ−WAVEにハガキを出して選曲リストを送ってもらう、という特別な存在でした。「サウージ・サウダージ」のあの「旅している感じ」も素敵でした。
 普通、これから「ボサノヴァのラジオ番組」を始めようとしたら、現在の新譜紹介、昔のアーティスト特集、ゲストにミュージシャンを招待してインタビューをして生演奏をしてもらう、日本にある色んなブラジル音楽が楽しめるお店やイベントを紹介する、といった感じでしょうか。こんな内容ではサウージ・サウダージのB級版しか出来ません。ではどうすれば良いのでしょうか?
 と考えて、今、番組作りをしております。
 いつものように、いくつかの「自分だけの決め事」も作りました。
1.楽屋落ち話はしない。
→有名人や自分が興味があるアーティストの「日常話」を聞くのは好きなのですが、全く興味がない、あるいは知らない人のダラダラとつまらない話しを聞くのはすごく退屈だからです。
2.レコード会社から頂いたサンプル盤から適当に何曲か良さそうなのを選んでかける、なんてことをしない。
→すいません。そういうのって聞いててわかるのでとても退屈なんです。出来るだけ自分でレコード屋で買って、「これは!」と思ったものをかけたいんです。でも、気に入った曲でしたら頂いたサンプル盤からももちろんかけています。
3.やっつけ仕事をしない。
→出来れば私が昔したように、カセット・テープに全部録音してもらって何度も聞いてもらえるようなひとつの世界観をパッケージしたような番組を目指しています。
4.ボサノヴァという音楽が持つ「ロマンティックでドリーミーな雰囲気」を大切にする。
→番組を聞いていただいた色んな方から指摘されているのですが、「クロスオーヴァー・イレブン」や「ジェット・ストリーム」や「アヴァンティ」なんかのあのイメージを踏襲しているつもりです。番組の裏テーマはアストラッド・ジルベルトのセカンド・アルバム「いそしぎ」です。とてもドリーミー(夢見心地)なアルバムなんです。
5.ゲストに選曲してもらう。
→いつも思うのですが、「ボサノヴァ」ってもうこの現代の世の中には存在しない音楽で、ひとりひとりの心の中にだけある音楽なんです。だから100人のボサノヴァ好きがいれば、100通りのボサノヴァがあるんです。それを30分の中で誰かに表現してもらえたらな、と思ってやっています。音源を頂いた時に、「そうか、○○さんのボサノヴァってこんな感じなんだ」と思う瞬間がとても楽しいです。 
 
 もしお暇な時があれば聴いてみて下さい。パソコンで仕事なんかをしている人にはすごく良いと思います。で、感想なんかを頂ければすごく嬉しいです。メールはこちらにお願いします。→bar@joqr.net

 

[← 目次にもどる]