カチアのCDのコメント(Jun.2007)
先日発売した「カチア・カンタ・ジョビン」のコメントを書きました。
いつものように複数の案を書いて、レコード会社の方に選んでもらう、というスタイルをとりました。どれが選ばれたかは店頭でご確認ください。
ちなみにこういう、BAR BOSSAのお客様が関わっているCDというのはあまりこういう場所で紹介するのは控えているのですが、先日ある作家の奥様が偶然このコメント文を目にして「林さんの文って小説家の文ですね」とほめてくれたので、ここで紹介することにしました。はい、私はバカです。
@東京で生活していると心がすっかり小さくなってしまいますが、このカチアのCDを聴いて久しぶりにリオで生活していた日々のことを思い出しました。「そうそう、リオの女の子たちってこんな風に笑ったり歌ったり、そして突然踊りだしたりしちゃうんだよな」って感じです。まるでリオの女の子たちの声が聴こえてきそうです。「ホラ!そこのジャポネスくん!壁際でウジウジしていないで、こっちに来て一緒に踊ろうよ!」
AカチアがBAR BOSSAに来店してくれた時のこと。彼女はお会計を見ておもわず「バラチーニョ!(安ーい!)」と叫びました。そう、たぶんカチアって上流階級出身なんです。よく言われることですが、ボサノヴァって貧乏人や田舎者がハングリー精神で演奏するような種類の音楽ではありません。リオのブルジョワ以上の音楽なんです。このCDはそんなボサノヴァ名盤の第一条件である「イパネマの上流感」がすごく出ている音楽です。ちょっと出せないです、この感じ。
BこのカチアのCDを聴いていたら、昔好きだったある絵本のことを思い出しました。ラヴソングを歌うのが大好きな女神が鳥に姿を変え、地上の男女の前で歌うとたちまち二人は恋に落ちてしまう、という話です。確か女神は調子にのって歌いすぎてしまい…というオチだったんだけど、このカチアのCDも素敵な恋人たちを盛り上げるBGMにぴったりかも、と夜のバーのカウンターの中で思っています。
追記:ちなみにBのような架空の本のことを書くと必ず「その本は何と言うタイトルでどこの出版社から出ているんですか?」という質問が来るのですが、もちろん存在しませんのでよろしくお願いいたします。
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