例えばアメリカ買い付けの場合はこういうパターンがあります。アメリカのレコード業者の人からオファーがあって、体育館のような大きい倉庫に連れて行かれます。で、“ここに○万枚あるから、○ドルでどうだ”とかって言われるわけです。これだと、まとめて船便で日本に配送すると、へたすると一枚1ドルにもならないくらいで仕入れることが出来るそうです。もちろん100円盤程度のものもたくさんあるけど、4〜5千円になるのもあるので、平均すると良い商売なワケです。ブラジルにもこれに似たパターンはあります。“いろんなレコードが入ったのを○箱送るから、いくらでどうだ”というオファーです。でも、想像できるかとは思いますが、ブラジル盤でそれだと9割以上が日本では100円盤でも売れないようなものばかりなんですね。 というわけで、普通ブラジル盤の場合、現地にスタッフを派遣して一枚一枚レコードショップや蚤の市を回る方式がとられています。さて、そのスタッフの旅費、滞在費、配送費(ブラジルは数がまとまらないと船便はない)、そして給料など、ご想像できるとは思いますが結構かかってしまいます。そして、ブラジルに行ったことのある人はわかると思いますが、やっぱりエレンコ盤とか、古いレコードはあまりないし、あってもボロボロなんですね。そして蚤の市だったりすると一枚500円〜1000円くらいなのですが、サンパウロの中古レコード店は日本人やヨーロッパ人が探しているレコードをわかっていて、7000円くらいで平気で売ってたりすると言う話しなんです。それって、ブラジル人の最低賃金並なので、確実に日本人はカモられています。 じゃあ、ブラジルに観光で行った時に、そういう蚤の市とか回って、いくつか拾うと、旅行代金くらいは出るんじゃないかな、なんて話もよく聞きます。それは、実際、私も考えたのですがちょっと無理でした。例えば、逆にブラジル人が日本に旅行に来て、日本語もあまりわからず、はっぴいえんどの初期盤やナイアガラの入手困難盤を探してもたぶん見つけられないのと同じです。現地でのコネクションや、レコード祭りの情報などを押さえて、毎日足を棒のようにしてまわって、やっと一枚見つかる程度です。で、やっと見つかっても、結局盤はボロボロで音トビだらけということが多いです。そして、観光旅行で行ってるのに、ライブやビーチに行かないで、レコードばかり見ているってのは、普通無理です。 ですので、現在、日本で流通しているブラジル盤は、現地スタッフが金山に通って、川の中で何度も何度もすくっては集めた砂金だと理解してください。ほんと、“ミナスまで嵐の中を買い付けに行ったのに全然なかった”なんて話を聞くと、日本にあんなきれいな盤が届くことなんて奇跡のような気がします。 ここからは個人的な意見なのですが、私も20歳くらいの時は2000円以下の安いレコードばかりを枚数ばかり買っていました。とにかくいろんな音が聞きたかったんですね。しかし、そう言うレコードって結局あまり聞かないんですよね。それよりも、絶対良い内容だってわかってて、何度も何度も悩んで迷って買った高いレコードの方が結局、大切に聞くし、手放さずにいつまでも飾ってあったりします。だから、ブラジル盤って、音楽の趣味も固まって、ただいろんな音が聞きたいなんて時期は卒業した、大人の趣味の領域のような気がします。実際、HPを始めて驚いたのは、お客様はほとんど私(69年生まれです)より年上なんですね。ええ、あんまりわかってない若造(私です)が生意気にすいません、という気持ちでいっぱいです。 と言うわけで、そんなに暴利をむさぼっているわけではないので、これからもよろしくお願いします。
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